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新卒薬剤師のための【研修認定薬剤師】ガイド

はじめに

薬学部を卒業し、薬剤師としての一歩を踏み出した皆さんにとって、これからのキャリアは非常に重要です。今回は、薬剤師としての専門性を高めるための資格「研修認定薬剤師」について、わかりやすく解説します。

この資格を取得することで、薬剤師としてのキャリアがさらに充実し、患者さんに提供できるサービスの質が向上します。新卒薬剤師の皆さんはぜひ参考にしてください。

研修認定薬剤師とは?

簡単に言うと

研修認定薬剤師とは、薬剤師としての知識や技術をさらに深めるための資格です。この資格を持っていると、より専門的な知識を持ち、患者さんに対して質の高い薬物療法を提供できることが証明されます。

公益財団法人日本薬剤師研修センターが運営

公益財団法人日本薬剤師研修センターのページから抜粋
経緯:全国のあらゆる職域の薬剤師を対象に、研修成果を記録し、それを客観的に認定するために「研修認定薬剤師制度」を発足させました。
目的:全職域の薬剤師の方々が自らの責任で、薬剤師免許を持つにふさわしい資質を維持するための生涯研修をバックアップし、その成果を客観的に認定するものです。

どうして重要なの?

薬剤師は医療現場で重要な役割を担っています。研修認定薬剤師の資格を持つことで、次のようなメリットがあります。

  1. 専門性の向上:研修を一定期間で受けるため最新の情報を取得できます。より専門的にアプローチができるでしょう。
  2. 信頼性の向上:資格を取得している薬剤師ということが分かるため、患者さんや他の医療従事者からの信頼が高まり、より良いチーム医療が実現します。
  3. キャリアの幅が広がる:かかりつけ薬剤師の要件の1つに「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している」というものがあります。日本薬剤師研修センターの研修認定もこの条件に該当します。かかりつけ薬剤師の役割がますます求められてきているので薬局薬剤師は取得必須レベルと言えるでしょう。

研修認定薬剤師になるためには?

ステップ1:資格要件を確認

まず、研修認定薬剤師の資格を取得のための要件を確認しましょう。

  • 薬剤師免許を持っていること
  • PECSへの個人登録

ステップ2:研修の受講

研修認定薬剤師の資格を取得するためには、研修単位を申請日から遡って4年以内に40単位取得する必要があります。

研修認定薬剤師制度実施要領に沿って研修毎に単位が決まっています。簡単に抜粋すると

集合研修:会場に集まって開催する研修です。会場が近く時間の都合がつく場合参加するのがいいでしょう。地域単位で月に何度か開催されることが多いです。
学術集会:学会への参加です。1日の開催時間が長いため参加して講演を聞くだけでも多くの情報を得られます。単位数も稼ぎやすいですが開催頻度は高くないので日程を要チェックです。
e-ラーニング研修:家で空いた時間に好きな講座を受講できるため単位を集める主流になっています。
ウェブ利用研修(集合研修即時配信):リアルタイムの集合研修をネットを通じて受講する研修です。研修中に発表されるキーワードを入力して単位認定されることが多いです。
ウェブ利用研修(学術集会):リアルタイムの学会をネットを通じて受講する研修です。どの発表に参加するか事前に決める必要があります。
自己研修:教材を利用して学習会を実施し、自己研修等報告書として提出した場合に単位を取得できます。
学術集会等発表:学会発表者や集合研修の講師の場合に単位を取得できます。
学術雑誌論文掲載:学会誌の筆頭執筆者として掲載される場合に単位を取得できます。

ステップ3:研修単位を取得

研修会への参加など上記の研修実施と単位付与条件を満たすことで、研修単位を取得します。

申請する予定の日まで4年以内に40単位を取得しましょう。PECSで取得した単位を確認できます。

ステップ4:資格認定の申請

40単位分のの研修単位を取得したら、PECSから研修認定薬剤師の申請を行います。
申請費用がかかるので自分の企業で補助がないかチェックしておきましょう。

ステップ5:資格の取得と更新

申請が認められると、研修認定薬剤師の資格が付与されます。この資格は定期的に更新が必要であり、更新のためには再度研修単位を取得する必要があります。

毎年最低5単位の取得、3年間で30単位取得する必要があります。1年に10単位ペースで取得すると覚えておけば更新のもれはなくなるでしょう。

研修認定薬剤師の活用例

病院薬剤師としての役割

病院薬剤師として働く場合、研修認定薬剤師の資格は非常に役立ちます。例えば、患者さんの薬物療法を個別に設計し、副作用の管理を徹底することで、治療の質を向上させることができます。また、医師や看護師と連携し、チーム医療の一員として重要な役割を果たすことができます。

調剤薬局での活躍

調剤薬局で働く薬剤師にとっても、研修認定薬剤師の資格は大きなメリットがあります。特に、慢性疾患を持つ患者さんに対して、薬の効果や副作用について詳しく説明し、生活習慣の改善をサポートすることができます。これにより、患者さんの信頼を得ることができます。

地域医療への貢献

研修認定薬剤師の資格を持つことで、地域医療にも貢献できます。高齢化が進む日本では、地域での包括的な医療が求められています。研修認定薬剤師として、地域の医療機関や介護施設と連携し、在宅患者さんへの薬剤管理や服薬指導を行うことで、地域住民の健康維持に貢献することができます。

教育・指導者としての役割

研修認定薬剤師の資格を持つことで、後進の薬剤師や薬学生の教育にも携わることができます。大学や専門学校での講師として、または研修施設での指導者として、これまでの経験や知識を次世代に伝えることができます。教育活動を通じて、薬剤師全体のレベルアップに寄与することができます。

まとめ

研修認定薬剤師の資格は、新卒薬剤師の皆さんにとって、専門性を高めるための非常に有用な資格です。この資格を取得することで、病院薬剤師や調剤薬局での業務、地域医療への貢献、教育・指導者としての役割など、さまざまな分野で活躍することができます。

薬剤師としてのキャリアを充実させ、患者さんに提供するサービスの質を向上させるために、ぜひ研修認定薬剤師の資格取得を目指してください。あなたの未来に向けて、大きな一歩を踏み出しましょう。