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かかりつけ薬剤師の必要性感じていますか?役割やメリット・デメリットを解説

はじめに

近年、医療の高度化と共に「かかりつけ薬剤師」の重要性がますます高まっています。かかりつけ薬剤師とは、患者一人ひとりに対して継続的かつ総合的な薬物治療を提供する薬剤師のことです。本記事では、薬剤師の皆様に向けて、かかりつけ薬剤師の役割と必要性、薬剤師および患者にとってのメリットについて詳しく解説します。

これからかかりつけ薬剤師を考えている薬剤師の先生やメリットを知りたい先生は最後までご覧ください。

かかりつけ薬剤師の役割と必要性

かかりつけ薬剤師とは?

かかりつけ薬剤師は、患者に対して個別に薬物治療を管理し、健康相談を受ける薬剤師です。医療機関で処方された薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めた薬歴を一元管理、時間外の相談をすることで、患者の健康管理を継続的にサポートします。

かかりつけ薬剤師になるには?

かかりつけ薬剤師の要件

●薬局勤務経験が3年以上
●当該薬局勤務時間:週32時間以上
●当該薬局在籍期間:継続して1年以上
●薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定の取得
●医療に係る地域活動の取り組みに参画

かかりつけ薬剤師に関連する調剤報酬

・かかりつけ薬剤師指導料(76点)
・かかりつけ薬剤師包括管理料(291点)

厚生労働省「かかりつけ薬剤師・薬局の推進について」

【調剤】R6改定説明会資料(53ページ)

医療チームの一員としての役割

かかりつけ薬剤師は医療チームの重要なメンバーとして、医師や看護師と連携して患者の治療に貢献します。薬剤師は薬物療法の専門知識を活かし、処方の適正化、副作用の予防、患者教育などを行います。

医療提供の質向上

かかりつけ薬剤師の存在により、医療の質が向上します。継続的なフォローアップにより、患者の治療が途切れることなく進められ、副作用の早期発見や治療の最適化が可能となります。

薬剤師にとってのメリット

収入を上げるきっかけに

かかりつけ薬剤師は要件を満たすことで「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」を算定することができます。
これらの点数は薬局での収益に直結してくるため企業によっては、かかりつけ薬剤師として働くことで収入アップにつながることが多いです。

専門性の向上

かかりつけ薬剤師としての経験を積むことで、薬剤師は専門性をさらに高めることができます。特定の疾患や治療法に関する深い知識を得ることができ、医療現場での信頼性が向上します。

キャリアアップの機会

かかりつけ薬剤師としての経験を活かして転職活動でも実績をアピールすることでキャリアアップにつながることも多いです。

ただ資格を持っているだけでは患者さんからの信頼は生まれません。かかりつけ薬剤師としてどのようなアプローチができたか、どういった問題を解決できたか具体的なエピソードがあれば転職活動でも活かすことができます。

患者との信頼関係構築

継続的に患者と接することで、信頼関係を築くことができます。患者の生活習慣や健康状態を深く理解することで、より適切なアドバイスを提供でき、患者満足度の向上に寄与します。

患者にとってのメリット

継続的なケアの提供

かかりつけ薬剤師は患者の健康状態を継続的に管理するため、治療の一貫性が保たれます。定期的なフォローアップにより、患者の治療が途切れることなく進められます。

薬物治療の最適化

薬剤師の専門知識により、患者の薬物治療が最適化されます。重複投与の防止や副作用の管理が徹底され、患者の安全性が向上します。

健康管理の総合的サポート

かかりつけ薬剤師は、薬物治療だけでなく、食事や運動などの生活習慣の改善にもアドバイスを提供します。これにより、患者の総合的な健康管理が可能となります。

安全性と安心感の向上

薬剤師と継続的にコミュニケーションを取ることで、患者は安心して治療を受けることができます。疑問や不安をすぐに解消できる環境が整っていることは、患者にとって大きなメリットです。

かかりつけ薬剤師のデメリット

24時間の相談が生活へ影響するケース

令和6年度の改定では「休日・夜間等のやむを得ない場合は薬局単位での対応でも可能となるよう見直し」となりましたが、夜間や休日での相談件数が多いとプライベートの時間でも対応が求められます。

患者さんのためとはいえ休日なのに仕事を意識しなくてはいけないのがストレスに感じてしまうケースはあるのではないでしょうか。

資格取得の費用負担

かかりつけ薬剤師となるためには「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定の取得」が必要となります。

認定の取得には単位の取得や申請費用が重なってくるため一定の費用がかかります。
企業によっては資格取得の費用を補助してくれるところもあるので自身の勤務先ではそのような補助があるのかチェックしておきましょう。

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かかりつけ薬剤師を選ぶ基準

それではかかりつけ薬剤師は患者さんにどのようにして選ばれているのでしょうか
選ばれるかかりつけ薬剤師になるにはどうすればいいのでしょうか

良いかかりつけ薬剤師の特徴

良いかかりつけ薬剤師は、専門知識が豊富で、患者とのコミュニケーションが円滑であることが求められます。親身になって相談に乗り、患者の健康を第一に考える姿勢が重要です。

選ぶ際のポイント

かかりつけ薬剤師を選ぶ際には、次のようなことも見られるでしょう

  • 薬剤師の資格や経験:経験年数や認定資格
  • 口コミや評判
  • 実際に相談してみての印象

患者との相性の重要性

かかりつけ薬剤師との相性は、継続的なケアの質に直結します。患者が信頼し、安心して相談できる薬剤師を選ぶことが重要です。

まとめ

かかりつけ薬剤師の存在は、薬剤師と患者の双方にとって多くのメリットをもたらします。専門性の向上やキャリアアップ、患者との信頼関係構築など、薬剤師としての成長が期待できる一方で、患者にとっても継続的なケアや治療の最適化、安全性の向上などが得られます。今後ますます重要性が高まるかかりつけ薬剤師の役割について、理解を深め、積極的に取り組むことが求められます。